『自閉っ子、こういう風にできてます!』★★★☆☆

2014年04月13日 08:43

里親のもとにはさまざまな子どもがやってきます。発達障害関係の子どもも少なくありません。アスペルガー症候群の子どもがやってきたという話もよく聞きます。『自閉っ子、こういう風にできています!』(ニキ・リンコ&藤家寛子著、花風社刊、1600円+税)は、当事者の語りで構成されています。ともすると深刻な話になりがちですが、障害をもった人とは思えない明るさで語ります。

宮沢賢治の詩『雨にも負けず』が最初に引き合いに出されます。雨に当たると痛いので、この詩を作ったのではないかと話題になります。確かにアスペルガーの人たちの身体感覚は定型発達した人とは違います。それをよく表すエピソードと言えます。

みんなには背中があるのに、自分には背中がない。とても不思議だと思っていたと話します。また、定型発達した人の何気ない言葉にも悩みます。たとえば「ご飯を食べに行こう」と誘われると、最初に「おかずは食べないのかな」と思うそうです。よく聞いてみると必ずしもご飯を食べるのではなく「今度楽しい時間をもとうね」という意思表示で、仲良くしようねと言うかわりにそういうのだと分かります。社交辞令が分からないので日々悩みます。

“定型発達”した人が書いた難しい本を読むより、当事者が明るく語るこの本には、まずなによりも救われます。アスペルガー症候群の人がどんな世界に生きているのか、どんなことで困っているのか、手に取るように分かるので、里親の必読書だと思ってしまいました。